言葉尻をとらえない

2021/03/01 (月)

「女性が多い会議は時間がかかる」,それだけを聞くと,確かに小馬鹿にされたようないらだちが沸き上がってくるかもしれません.
一生懸命やっているのに評価されない悲しさは,私もかつて痛感したことがあります.

ところで,その言葉が出るのにはどんな心境が関係していたのでしょうか.
おそらく,蔑視の気持ちというよりは,決定を急ぐ会議で「もどかしい思い」をした体験が思わず口を動かしたのではないでしょうか.
ひょっとしたら,「結論を急ぐせっかちな男性達を,慎重で会話も上手な女性達が戒めてくれている」というありがたさをわかった上での言葉だったのかもしれません(笑).

もちろん,どちらも私の勝手な思い込みですが,人の口から出てくる言葉はその想いの一部でしかないので,「言葉尻」だけを捉えると「言葉頭?」を誤解する危険があるといつも注意しています.
外来の診察でも,いろんな言葉をお聞きしますが,たとえば「頭が痛い」でも,病気だけでなく寝不足やストレス,はたまた嫁姑問題や金銭トラブルがその言葉を出させていることがあります.
一つの言葉から一つの結論ではなく,隠された想いも拾い上げていくことが,言葉の「尻」だけでなく「胸中」を捉えることになるのかもしれないと「頭」で考えるようにしています.