希望の”効能”

2021/10/30 (土)

「八甲田山(はっこうださん)」という古い映画があります.
明治時代,陸軍が雪中行軍の訓練中に遭難し,多数の凍死者を出した実話を映画化したものです.
青森県が舞台だったので,小学校の頃,親に連れられて観にいったのですが,痛烈な印象を残したシーンがありました…
吹雪の中を数日間さまよい歩き,ついに絶望した神田大尉(北大路欣也)が叫びます.
「天は我々を見放した…こうなったら先に死んでいった仲間達と一緒に死のうではないか!」
その途端,周りにいた軍人たちが次々と力尽きて雪の中に倒れ込みます.
ところが,それを見た倉田大尉(加山雄三)が叫びます.
「帰り道が見つかったぞー.あの方向に進めばきっと我々は帰営できる!」
そう言って何も見えない吹雪の中を指さします.
そうすると,今度は倒れた軍人たちが少しずつ起き上がり,気力を絞り出してまた歩き始めたのでした.
子供心に「絶望」と「希望」が与える影響を感じ取ったように思います.

人間は,わずかな希望でもそれに懸けることができる能力を持っています.
確率が低いとわかっていても,希望があるかないかでは大違いです.
だからこそ,2000万分の1という途方もない低い確率でも,1等7億円を夢見てジャンボ宝くじを購入できるんだと思います(ちなみに,北海道の「2000万分の1」は畳2畳くらいの大きさです:笑).

例えば,年齢に従って血圧が上がってくると,降圧剤が必要になることがあります.
そんな時,「これって飲み始めたら一生飲まなくてはいけないんじゃないですか」と服用を躊躇される方もいます.
もちろんその可能姓はありますが,「食生活が改善すれば血圧も正常に戻って薬がいらなくなるかもしれませんよ」と希望を持ってもらえれば,少し不安が和らいで,薬を飲み始めやすくなるように思います.

「絶望」は力を失わせますが,わずかでも「希望」が持てれば,その影響は決して少なくありません.
そんな希望の”効能”をうまく活用してヤル気を生み出せれば,落ち込む気持ちも薄められるように思っています.