第17回日本脳神経減圧術学会
The17th Annual Meeting of the Japan Society for Microvascular Decompression Surgery
ご挨拶


第17回日本脳神経減圧術学会
会長 畑山 徹
(水戸ブレインハートセンター 院長)
  この度、平成27年1月17日(土)の学術集会まで日本脳神経減圧術学会の会長を務めさせていただくこととなりました。市中病院で脳外科診療に従事しながらこの治療に力を注いできた者にとりまして、大役をお任せいただいたことを大変光栄に感じるとともに、重責に身が引き締まる思いでおります。

約20年前、術中モニタリングの研究のためピッツバーグ大学に留学した際には、全米から集まる三叉神経痛や顔面痙攣の患者の多さに驚きながらも、症状の改善を喜ぶ患者達とジャネッタ教授の明るい応対に手術治療の有効性を実感しました。当時はInterpositionによる減圧操作が多かったためか三叉神経痛再発例に対する手術比率も高かったのですが、術後に再び症状が改善する患者が多く、再手術にも前向きに対処すべきことを感じ取りました。

帰国後は、ちょうど時期を同じくしてこの学会の前身である脳神経減圧術研究会がスタートしましたので、興味深い報告や熱心な討論を拝聴しながら、国内での標準的な治療成績やtranspositionを主体とした減圧操作について貴重な知識を積み重ねることができました。平成23年には研究会も学会へと発展し、近藤明悳先生を始めとするベテランの先生方のご尽力により手術成績の評価方法も標準化され、治療効果を客観的に比較できるようになったことはこの学会の大きな成果と思われます。

言うまでもなく、この手術は患者を苦痛の人生から救い出すという意味で非常にやり甲斐のある治療です。しかし、致死の病でないことに加えて、術野が「狭く、深く、入り組んだ場所」でもあることから、合併症の心配を優先して手術の実施を必ずしも積極的には勧めない施設も見受けられます。また、典型的な症状を呈していても、画像所見で圧迫が不明瞭であることを理由に手術適応外と判断されている患者もいます。そして、そのような対応が続くことで、顔面痙攣や三叉神経痛の患者が最初に訪れることの多い眼科や歯科などにとって脳外科の「敷居」が高くなってしまうことも懸念されます。したがって、治癒を望む患者に対して適切な「門戸」を確保するためには、本学会としてこの疾患に対する的確な診断方法と確実性の高い手術操作を更に伝授していく使命があると考えます。

そこで、当院で主催させていただく今回の学術集会では、若手脳外科医はもちろんのこと、クリッピングや腫瘍摘出に比較して脳神経減圧術はまだ馴染みが少ないという先生方も対象とした「教育セミナー」を実施します。そこでは、本学会で過去に会長も務められたエキスパートの先生方から「診断と手術のコツ」をご教授いただくとともに、その映像を編集したDVDを製作して貴重な知見の普及に役立てる予定です。また、一般演題も主に診断や治療に難渋した症例報告を募集し、そのような病態へ共同戦線を組むべく「拡大症例検討会」と評して充分な時間での討論を行います。更に、再発例に対する対処方法などにつきまして、私の方からも発表を行わせていただく所存でおります。

学術集会の会期は定位機能外科学会およびてんかん外科学会の開催に合わせて平成27年1月17日(土)となります。討論が長引いて閉会が遅い時間になる可能性もありますので、ご参加の皆様には是非夜までお時間をご都合いただけますようお願い致します。なお、会場には軽食を準備するとともに、閉会後に立食での意見交換会も開催を予定しております。

新設の民間病院による学会運営となりますので、多くの先生方にご助言やご指導をお願い申し上げるかと思いますが、一人でも多くの患者と脳外科医がこの手術による「喜び」を享受できるよう尽力いたしますので、何卒よろしくご高配いただけますようお願い致します。