内助の功

2023/03/25 (土)

前にも書きました通り,それほどプロ野球は観戦しないのですが,それでも今回のワールドベースボールクラッシック(”クラッシック”は決定戦のような意味だそうですね)には興味を持てました.
特に感心したのは準決勝の最終回,敗色漂う中で巡ってきたノーアウト1・2塁のチャンスです.
バッターは史上最年少三冠王,ただしこの大会では凡打が続く絶不調.
1点差ですし,定石なら確実性の高い送りバントなんでしょうが,ベンチの指示はヒッティングで.結果は劇的なサヨナラヒット!
打った選手はもちろん大したものですが,何より監督の采配力の高さに心から感服しました.

たとえ打率3割の強打者だったとしてでも,凡退する確率は7割近くもあります.
さらに当たりが悪ければ,三併殺で一気にゲームセットかも.
そんな状況にありながらドラマチックなヒーローが生み出されたのは,低い確率の選択肢と心中した監督の「内助の功」があったからこそと思っています.

自分の才能を引き出したり,それを更に引き伸ばすのは,本人だけでは限界があります.
選手であればコーチ,タレントならマネージャー,そして夫なら妻(あるいは妻に対する夫)による「内助の功」が絶大な役割を果たします.
自分だけの判断では,その能力をうまく活用できていなかったり,あるいは無駄遣いしてしまうかもしれません.
身近にいて,本人の特色も良く知っている「内助」だからこそ,確率だけにとらわれない成功へのアドバイスが可能になるのでしょう.
私自身,自分の工夫+内助の功が,1+1=2以上の大きな結果を生み出せるといつも実感しています.

実は治療にも似たようなところがあって,病気の克服には本人の治癒力が大切なのですが,それをうまく使えていない方を見かけます.
薬や手術だけじゃなく,食事とか休養とか,体調を整えることが回復への早道とわかっていても,本人だけだといろんな理由もあってなかなか理想のプランを実行できません.
ですから,医師やスタッフが適切なアドバイスや持ち前の思いやりで「内助の功」を発揮することで,患者自身の治癒の才能をさらに引き出してあげることが大事だと考えています.

ちなみに,あのサヨナラヒットは,その前に一塁ランナーを俊足の選手に交代させていたからこそ,2人が一気にホームインできて逆転優勝を勝ち取れたわけですよね.
本当に,監督の「内助の功」に感心します.